企画募集
やり逃げされた
今日も入院している彼氏のお見舞いにやってきた翠。
「まだ具合悪い?」
「うん。でも、日に日によくなってるよ」
「それはよかった」
「さっき飲んだ薬が効いてきたみたいだ。少し眠るよ」
「おやすみ」
しばらくすると、隣のベッドの入院患者の男が、カーテンの隙間から顔をのぞかせる。
「寝た?」
「寝たわ」
そう言いながら、隣の男の元へ移動する翠。
お見舞いに通ううち、隣の男と体の関係になっていた。
熱い口づけから、お互いの性器を求める。
行為はどんどん激しさを増す。
ベッドの軋む音にも彼氏は目を覚ますことはない。
やがてフィニッシュ。彼氏には悪いと思いながら中出ししてしまった。
「もっとしてよ~」おねだりフェラする翠。
「やばいよ。そろそろ起きちゃうよ」
翠は彼氏の顔を覗き込む。
「大丈夫よ。すやすや寝息たててる」
こうして2回戦、3回戦へと進む・・・そんな日が何日も続いた。
今日もルンルン気分で見舞いに訪れた。
彼氏の顔色もすっかり良くなっている。
「次の検査の結果しだいで、退院できそうだよ」
「そう、よかった」隣のベッドの男に会えなくなると思うと、少し残念に思う翠だった。
そんな翠の体調が急変する。
激しい吐き気を覚えたのだ。
すぐに診察室へ連れていかれた翠。間もなく俯きながら戻ってくる。
「言いにくいんだけど、わたし、妊娠してるって」
「ええ!何で?相手は?」
翠が隣のカーテンを見やる。その様子を見た彼氏が、
「隣がどうかした?」
彼氏がカーテンをサッと開けると、そこは空きベッドだった。
「病院の配慮で、隣はずっと空きのままだよ」
ええ!じゃあ私は今まで誰とやってたの?
その瞬間、頭の中が混乱し、翠の顔がこわばる。
と、同時に「この子、どうしよう?!」
翠はとりつくように、
「あなた、寝ぼけながら私の体を求めてきて・・・」
と、猿芝居をはじめる翠だった。